『排出権商人』
という本を、同級生が持っていた。
「ナニ? ソレ」
と聞くと、
「芸術家には不向きかもしれないけど、読んでみる?」
と貸してくれた。
のっけから、
“国連気候変動枠条約”だの、“京都議定書”だのと、
なるほど私の日常や仕事からはほど遠い言葉が並び、
“地球温暖化の影響が最も深刻な小島嶼(しょ)諸国”
に至っては、見たこともない漢字であった。
経済・環境用語集というのが(私のようにオンチな者用としてだろう)
付いている。
まだ4分の1ぐらいしか読み進んでいないので、
何とも言えないが、
「温暖化防止の美名の下で生まれた新しい国際ビジネス。
利権に群がるしたたかな商人たち…」
と、本の帯には書いてあった。
このテの読者は、たぶん男性の方が多いだろうが、
“オッサン”と娘から言われだして久しい私には、
けっこうおもしろく感じられる。
自分が経験出来なかったこと、これからも絶対ないであろうことを
本の中で追体験しつつ、
いかに狭い世界で生きているかを知る。
しかし、
その小さな世界が、私の最も住みやすい所であることを
確認させてくれるのが、読書なのだ。