「どうせ私はブチャーハアですから」
娘が笑いながら言う。
“ブチャーハア”とは、不器用ということだ。
私の母、娘から言えば、「徳島のバアチャン」の語録だ。
“朝曇りのカンパチ”と言っていたのもよく思い出す。
夏、朝曇っているから今日は少しは涼しいだろうと期待していると、
午後カンカン照りになることを指す。
徳島弁?母独特の言い回し?それとも?
郷里の言葉・方言は、若い間は田舎者と思われるのがイヤで、
極力、口にしない人が多いが、
50代になるとカッコつけるのにも疲れてきて、ポッと出たりする。
そのうち気にならなくなり、さらに懐かしく思えるようになる。
ところが、いざ思い出そうとすると、これがなかなか出てこないもので、
大阪の方が長いもンナァとつくづく思う。
「イタ」「カア」
前者は、香川、後者は徳島で、各々「ちょうだい」、
つまり「それが欲しいので、私にください」という意味に使われる。
方言は使わなくても、イントネーションはふっとした折に出てくる。
生徒の中にも、どこ出身とはわからないが、大阪ではないだろうナと思うことがある。
私にも、徳島出身の人が聞けば「ア、同県人」とわかる物言いが残っている。
さてそれを今書こうと思っても、「ウン?何だったっけ」となるあたり、
ふるさとからは遥かに離れてしまったナァ、と感慨深い。