河鍋暁斎(かわなべ きょうさい)の絵を観に、京都博物館へ。
幕末から明治にかけて、この画家が活躍した時代は、
革新に満ち溢れていた。
志を持つ者にとっては、心躍るチャンスの時であったに違いない。
友人が送ってくれた本が、
その時代の謎解きをしてくれておもしろい。
本の虫というほどではないにしても、
活字の文化の中で育った私達は、
興味ある本に出会うと、夢中で読んでしまう。
年のことも考えず。
結果、肩が凝る、眼が疲れるとなるのは、当然のこと。
ゴールデンウィークも近い、ゆっくり少しずつ楽しむことにしよう。
さて暁斎展のことである。
いいナと思うのは数点あったが…
構図が良いとか、線が厳しいとか、
技巧の点では、一級であることは間違いない画家なので、
あとは好みの問題だけ。
要するに「おもしろい」よりも「美しい」を取る私にとっては、
おどろおどろしい絵は「ちょっと…」ということになる。
今まで観た絵の中で、
「おもしろい」と「美しい」とが混在している絵は、
芦雪のみであったように思う。
やはり、品格が違うのだ。
絵の巧さで師の応挙をも凌ぐと言われるが、
円山応挙の絵は、品格において揺るぎない。
「気をつけ!」あるいは「正座」をして観る絵だ。
“させられる”のではなく、思わずそうしてしまう、という方が正しい。
芦雪は、「ちょっと足が痛いので…」と言えば、
「ア、どうぞ」とニカッと笑ってくれそうな。
それでいて、観る人にアクビなどさせない
強力な磁力を持っている。
この師弟の図録は、
私の本棚の一番取り出しやすい所にある。