FC2ブログ

春を食す

“うるい”という野菜がある。
茎の部分はみずみずしい白、うす緑の部分(葉)がほんの少しだけついている。

さっと茹でてゴマを振りかけ、ポン酢でいただく。
いかにも早春の味という感じ。

“擬宝珠(ぎぼうしゅ)”というユリ科の多年草の一種と聞いたが、
詳しくは知らない。
いろいろ食べているようでも、ほんとは世の中の食べ物の
ほんの一握りの種類を、食しているにすぎないのだろう。

「こんな野菜知ってますか?」
と10年程前に生徒が持ってきてくれた。
それが“うるい”を口にした最初のこと。

以来近くの店で見つけると、必ず手がのびる。
その日は何だかとてもうれしい一日になるようで、
「見つけたよ」とウキウキ帰ってくるから、娘にもすぐわかるらしい。

あまり知られていない様子であることは、
店に置いてある数を見てもわかる。

“うるい”はきっと思っているだろう。
「毎年絶対に買ってくれる人がいるからネ」
毎回全部買おうかしらんと心はやる。

しかし、私の他にもきっと“うるい”の発売を心待ちにしている人が
いるかもしれないと考えて、1つだけ買って帰る。
翌日行くと、やはりナイ。
何しろ、2~3パック、ひっそりと並べてあるだけだから、
完売!!という程大袈裟なものではないのだが…

タラの芽を甘酢に漬けて食べさせてもらったことがある。
いなかの義姉のごちそうであった。
兄が山で持ってきたもので、それはそれはおいしかった。
わらびやぜんまい、春の味はいろいろある。
けれども私は、やはり“うるい”を一番にあげたい。

シャキシャキと歯ごたえがうれしく、わずかな苦みに何ともいえないグレードを感じる。
品の良さにおいて、最高位をつけたい食べ物なのだ。

もうひとつ、柑橘類における最高は、“日向かん”だと思う。
冬の終り(早春)に店頭に並ぶこのみかんの味も
上品で、そこはかとなく少女の頃の思いに通じる気がする。
その色や香りも又、鮮やかすぎて、かえって切なく感じるのは私だけか。

暖かすぎる冬はもう終わったのだろうか。

プロフィール

玉麗

  • Author:玉麗
  • 大阪在住の水墨画家。
リンク
このブログをリンクに追加する
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
最近のトラックバック
FCカウンター
オンライン
現在の閲覧者数:
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

月別アーカイブ
RSSフィード
ブログ内検索