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花の思い出⑧ クサフジ

初夏、帰郷した。
3年ぶりなので、いなかといえどあちこち様変わりしていた。

「アレッ こんな所にこんな店なかったけど」
「アッ ここも新築したんダ」
「エッ もうお店やめたって?」
驚くことばかりであった。

ガソリンスタンドをしている次兄が
「川へ行こうか」
と言うので、私達は喜んだ。
この兄はワイルドな遊びに連れて行ってくれるので、ワクワクする。

家の前で、
「この車スゴイナア メッチャきたないよ」
と娘の声がする。
「お犬さま専用じゃけんなあ、あんまり美しいはないけど」
兄が笑いながら答えている。

その車で私達は吉野川へと向かった。
堤防を下り、河原へ下りて行く。

兄の運転は少々荒い。
やっと通れるような柵の間をスリ抜けるたび、
「ヒャアー」
と女共が声を上げ、
「これから揺れるゾ。しっかりつかまっとけョ」
と兄はゴキゲンでさらにスピードが増す。

ガタンガタン大揺れし、油断していると
河原の丈の高い雑草がビシバシと顔に当る。
ひときわデコボコした砂と石のところで、車が止まった。

兄は
「4輪駆動じゃけん、けっこう動くんじゃけんど…」
と言いながら、後部を開けた。

何だろうと思っていた2ツの箱。
ここに、かのお犬さまがひそんでいた。
フタを開けると、パーッっと飛び出す猟犬2匹。
再び大揺れしながら発進した車の前後を、必死でついてくる。
我が家の黒モヤシっ子風太クンは、
その様子を抱っこされながら見ているという有様。

やっと本流までたどりついた。
犬達はうれしそうに走り回り、
兄に川の中へ投げ込まれても、ゆうゆう泳いでいるというのに、
風太は手前で動けない。

元気な犬達につられて走ったのはよかったが、
足先が1センチほど水につかるくらいの、流れの真ん中で立ち往生。

マッタク!!
都会のオボッチャマン犬まる出しである。
それでも砂地の所は大喜びで、あっちこっち走り回っていた。

帰路、一面に赤紫の花が咲いていた。
車を止めて見ると、エンドウのような種がついている。
ムシトリソウやカワラナデシコもチラホラ。
帰って調べたら、クサフジであった。
又、行きたいナァと風太も思っているだろうか。

http://hw001.gate01.com/gyokureikai
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  • Author:玉麗
  • 大阪在住の水墨画家。
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