「f植物園の巣穴」
私は今冬眠状態、とはいっても実際に眠っている訳ではないから
ヒマで仕方ない。
本を読むぐらいしか時間を潰す方法が、ないのだ。
で、この本だが
「家守奇譚」に比べると、ちょっと重い。
ごく少ないながらも
会話の部分はこの作家らしく、見事ではある。
また「家守奇譚」を読み返している。
これで3度目だ。
ーサルスベリのやつが、おまえに懸念をしている。
ーふむ。木に惚れられたのは初めてだ。
新米精神労働者である綿貫征四郎と、
亡き友、高堂(こうどう)との会話。
あるいは、ひょんなことから居着いた犬ゴローが
和尚に頼まれて朽木村の滝壺まで
干からびた河童を運んで行く話。
白木蓮が、タツノオトシゴを孕む。
・・・・等々。
百年そこそこ前の、
百足(むかで)の立派なのが出てくるような家で、
繰り広げられる怪奇譚は、悠然として進んでゆく。
私はそのおもしろさにつられて、
途中で本を置くことも出来ない。
その家に植えられた草木の名前で
各章が区切られているので、
かろうじてトイレには行っている。
構図・色調・品格、どれをとっても申し分ない、
いっぷくの絵に巡り会ったように、
この本との遭遇を喜んでいる。
(玉麗)
私も読みましたが、まさにおなじ感覚を覚えました。
すごく好きだなあと思う、作家さんです。
(母とはあまり好みが似ていませんが、珍しく一致しました)
経験や努力だけでは到達しえないその域。
星の数ほどいる作家の中でも、
突き抜けた才能とセンスを感じます。
多くを書かずして、想像させる文体は
見事で、
余裕すら感じられます。
色を使わずして、彩りを感じさせる、
描かずして、余白にものがたりを見せる、
水墨画に似ているかも?
(雪)
水墨画・墨彩画 玉麗会
http://gyokurei.com/

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