この物語は、澁谷玉麗の完全オリジナルです。
毎週日曜日に更新します。
過去のストーリーを読みたい方は、
ブログの右側の「カテゴリ」の中より、
「四季の姫のストーリー」をご覧下さい。
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“序章 四”
ぼたん老女は、姫達を慈しみ心込めて養育した。
どんなに忙しくても愚痴ひとつこぼさない老女に習って、
ふたりさくら子も笑顔を絶やすことはなかった。
クルクルとこまねずみのように働く三人の花の精を、
母神は目を細めて見守った。
姫達はすくすくと育って行った。
このころの四季神家は人間達の生活と比べて、
さしたる差異はなかった。
皆、早朝に目覚め、父神のとなえるアマテラスへの祈りの言葉を、
こうべを垂れて聴き入ること以外は。
一の姫が三ツになった年、父神は三人の小さな姫達に言った。
『姫神になる支度を始めるのは、三ツの年と決められておる。
一の姫の供をするものを、呼んでおいた。
二の姫、三の姫は、それぞれ三つの年になるのを
楽しみに待つがよい』
どこからともなく、白狐が現れ、一の姫の前に座った。
二の姫の眼が輝いて、
白い生きもののふさふさした尾に触れた途端、
それは姿を消してしまった。
三の姫がぼたん老女のひざの上で、眼を丸くしている。
『ハ ハ ハ、 白狐は一の姫の供だ。
一の姫の言うことしか聞かぬぞ』
(by 玉麗)
水墨画・墨彩画 玉麗会
http://www.gyokurei.com/

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