この物語は、澁谷玉麗の完全オリジナルです。
毎週日曜日に更新します。
過去のストーリーを読みたい方は、
ブログの右側の「カテゴリ」の中より、
「四季の姫のストーリー」をご覧下さい。
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(登場人物)
四季神家:父神 愛馬「豊雲(とよくも)」
母神
一の姫(冬) 供・・・白狐「冬衣(ふゆぎぬ)」
二の姫(春) 供・・・駿馬「建速(たけはや)」
三の姫(秋) 供・・・鳳凰「綾織(あやおり)」
末の姫(夏) 供・・・龍「倭(やまと)」
四季神家に仕える者:
ぼたん老女
ふたりさくら子
加牟豆(かむず)
冬の社の主神
少名神(すくながみ)・・・(冬の社の主神の従兄弟)
アマテラス
無名
黒鳥(無名のしもべ)
黒い鳥達は変化自在であった。
春姫と建速に対しては馬の形に、
秋姫と鳳凰に向かっては巨大な怪鳥となった。
そして、
末の姫と加牟豆、ふたりさくら子をのせた倭に、
翼を持った竜が襲い来る。
そのどれもが、
鋭い刃で全身を鎧のように覆っていた。
姫達は一瞬、凍りついたように身をすくませた。
「惑わされてはならぬ!
刀に見えるのは、鳥の嘴(くちばし)じゃ」
四季神の声が、凛々と響いた。
と同時に、
豊雲とその馬上の神は一体となって、
翼竜めがけて斬り込んだ。
頭上にかざした剣が、鮮やかに振り下ろされるたび、
黒鳥達が散っていった。
「父神さまに続けーっ!!」
春姫が宝かに声を上げ、鐙(あぶみ)を蹴った。
建速は黒鳥の化身馬に突進し、
鳥達を蹴散らした。
秋姫と鳳凰は高く高く飛翔し急降下すると、
追ってくる怪鳥に体当たりした。
しかし、
黒鳥の数は一向に減る様子はなかった。
なぎ払っても蹴落としても、
瞬く間に集結し、また元の形を成して、
四季神一族に向かってきた。
その頃
四季神家に残った冬姫達も、戦いのときを迎えようとしていた。
黒い鳥達が、四季神家の周辺に
一羽また一羽と集まってきて、そこかしこに群れを作っていた。
冬姫は母神とぼたん老女に、
塗り籠めの中に入り、内からしっかり鍵をかけるよう伝えた。
その時、四季神から念の言葉が届いた。
『黒鳥を集結させてはならぬ
地表に近づいた鳥を 冬衣と共に追い払うのじゃ』
冬姫は、はおりものを脱ぎ、身軽な体になると
父神がお守りとして置いた剣を取った。
3ツの頃から、冬の社への決死の旅を続けている。
寡黙で静謐(せいひつ)な平時の姿は消え、
たった1人でも怯まぬ闘志が瞳の中に燃え立った。
「母神さまとぼたん老女はわたくしが守る
冬衣、鳥達が変化(へんげ)する前に
蹴散らすのじゃ!」
冬姫が背に乗ったと見るや、
冬衣は黒鳥の群れに向かって、宙を跳んだ。
(by 玉麗)
水墨画・墨彩画 玉麗会
http://gyokurei.com/

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