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観音様の完成

屏風(1.8m×1.8m)を描いていた時、
眼がよく見えていなかったので苦労した。
1年ほど前のことだ。


今年は観音様で立ち往生してしまった。

屏風に比べればずっと小さいが、
30号なので、今回の新作の中では一番大きい。

技法で悩み、色彩に迷い、紙もいろいろ変えてみた。



この絵は、
依頼されて描いたもので
依頼人のもとにはもうすでに1枚の絵がある。

椿の若木の横でその花を持ち、
依頼人Sさんの方へ歩み寄ろうとしている観音。

顔立ち、体型は若やいでいる。



その後2000年を経た像を、というのが
今回課せられた制作テーマであった。



懊悩する私に娘がポツリと言った。

「2000年経っても、観音様は変わらんと思うけど・・・」



このひと言で、霧が晴れた。




時の流れは、墨に託した。
(前回は彩色だった)

椿の木は枯れ、切り落とされて、
その切株に半跏思惟(はんかしい)のポーズで座する。
切株から1本、蘖(ひこばえ)が出ている。


半跏(はんか)とは、結跏(けっか)の半分、
半分だけ足を組んでいる様。
思惟(しい)は、「思いをめぐらせている」
との意。


つまり、少しリラックスしている像のこと。


光背は前の絵にはなかったが、
薄めながらピシッと入れた。

とたんに墨のみに観音は生気を与えられたように、
輝いて見えた。



完成!


私の画歴上、一番迷いの多かった絵が
出来上がった。

(玉麗)

水墨画・墨彩画 玉麗会
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