同窓会へは今回も行けなかった。
行きたかっただろうにと、気の優しいUさんが写真を持ってきてくれた。
ところが、当日撮ったものをすぐコピーして渡してくれたようで、
写っている人達の名前が書かれていなかった。
「コレ 誰?」
「私もようわからんかった」
「コレは?」
「ア、その人ね、ホラ、アノ・・・・名前忘れちゃった!」
こんな調子で、50人ほど並んでいるのに、
名前がわかった人は10人もいなかった。
見知らぬ人達がズラーッ なのだ。
不思議と先生は解る。
名前も出てくる。
マア、ムリもないワ。
あの頃(中学時代)は、子供。
田舎のことゆえ、化粧をした子など、いはしなかった。
男の子だって、当時は丸坊主がほとんど。
皆、寡黙な少年であった。
それから半世紀近くが経ったのだ。
変わらなければ妖怪だろう。
しかし、名前を聞いてよくよく見ると、
なるほど昔の面影が残っている。
当時の顔がジワーッと脳裡に浮かんで、現在の顔の上に重なってゆく。
「ヘェーェ ジイさんになったねェ」
「この子 わかる?」
「わからへん」
「みんなそう言うてた。そしたらネ、Tちゃんが“いじったナ”って言うてん!!」
2人で爆笑した。
イヤ、美しくなったヒトのことをではなく、
言った人の抜群のタイミングと、言葉遣いをおもしろがったのだ。
昔から彼女は思った通りのことを、スパッと言ってのける。
実に鮮やかに、端的に。
後で思い出し笑いしたことが、何度かある。
悔しがったことももちろんある。
Uさんは、子供の学習について研究している、学者になったTさんから
ある宿題をもらったという。
彼女とTさんは、学年で1・2を争う優秀な生徒であった。
「私がミーハーになっているの、知らないのよね」
と首をすくめて笑う。
写真の中の人達にも、いろいろな事があったことだろう。
でも、同窓会に集まった人達には、皆同様に、
楽しい時間が流れたことを、写真の笑顔が語っていた。