我が家のベランダには南側にズラッと、東側に少し、合計30余の植木鉢が並んでいる。
この木も花も、枯れた葉、咲き終わった花はひとつとしてない。
ちょっとヒマが出来ると外に出て手入れをしているから、どれもけっこう生育がいい。
ブーゲンビリアが今年初めて、春に花をつけた。
生徒達が「上手に育ててますね」と言ってくれるが、
花木には草花と同じように毎日水をやってはいけない、という初歩のことに気付いたのは数年ほど前のこと。
それまではしょっちゅう根腐れさせて、「あー、又枯れた!」ということになっていた。
水さえやれば大丈夫と思っていたフシがある。
花が咲き終わるとすぐ摘み取る。
ブーゲンビリアは中の白い小花が終わっても、まだガクは充分美しい色をしているから、
それをハサミで切り取るのには思い切りがいる。
チョン、チョン、とハサミの音をさせていると、ふと父のことを思い出した。
亡父は、花ではなく松の盆栽を100鉢以上持っていた。
そのほとんどが五葉松で、すべて実生。
接木ではなかったので、けっこう値打ちのあるものであった。
最初は小さな鉢でチョコンと立っていた苗も、何度か植え替えられると、
少しずつ生育し、針金の力を借りてそれなりの姿になってゆく。
父は寡黙な人だったので、日曜日になると一日中松と対峙していた。
暑い頃の夕方の水やりは私の役目で、かなりまじめに役を果たしていたように思う。
父が盆栽を始めた年頃に近づいた頃から、私の花いじりも始まった。
父譲りなのかと改めて思う。