「私のことを覚えていますか?
小学校3年生の頃(大昔のことですが)、大阪へ引っ越したので
記憶にないかもしれませんね」
こんな文面のFAXが届いた。
名前を見ても思い出せない。
私の電話を教えたというOさんにTELをして、確かめた。
彼女の話で、9歳の私が甦り、FAXをくれた由美ちゃんを連れてきた。
ポチッとした瞳で、えくぼがあったような気がする。
笑顔のかわいい子だった。
何かの用があって徳島へ行くたびに、
私のことを思い出してくれていたらしい。
と言うより、彼女の記憶の中の同級生は私1人で、
その他の人は思い出せないとのこと。
こりゃ大変だ!
そんなうれしいことを言ってくれる人のことが
何も思い出せなくては、がっかりだろう。
と思った途端、又しても9歳の私が出現。
その子は、小さな紙切れを持って読んでいる。
由美ちゃんは、引越しの前日、私の家までサヨナラを言いに来てくれた。
あいにく私は留守。
がっかりした彼女は、メモを知人に預けて大阪へ。
何が書かれていたのか推測するまでもない。
9歳の言葉で、「元気でね」と伝える走り書きであった。
“お別れを言いに行った”と彼女が、
“手紙をもらった”と私が、
電話中に各々思い出した。
「玲子ちゃんは、その頃アイドルだった小鳩くるみに似てたョ」
そう言えばその子に似たヘアースタイルだった。
でもあれは母が毎朝やってくれたことで、
本人はちょっとばかり、気恥ずかしい思いをしたナア。
50年以上も前のことだ。
優しかった彼女は、幼稚園の先生になって、定年退職し、
今は知人の仕事を手伝っているという。
明後日、由美ちゃんと会う。