50代になったばかりの頃、私はまだ元気なヒトであった。
その頃の夢?のひとつ。
作品を車に載せて、全国ツアーをするという計画があった。
娯楽の少ない地方での個展。
観に行きたくても行く手段がないという場合もある。
小型バスを改良して、その中で展示し、
集落ごとに細かく移動するという方法が良いだろう。
本気で、運転手は?費用は?などと考えて
ため息をついていた。
しかし、たくさんの人に私の作品を見て欲しい気持ちは
ずーっと残っていて、時折ふと頭をもたげてくる。
今朝も1人ごとのように言ってみる。
「今からでも行けるかナァ」
「誰が運転するの?」
「お母さん1人で電車で回るネン」
「ふぅん、荷物は?」
「作品じゃなくて絵ハガキ持って…」
人の集まる場所で、円光寺の絵の話をする。
水墨画のパフォーマンスを見せる。
「墨・彩 美術館建設資金集めのため、
絵ハガキをぜひお求めください、ってこんなのどう?」
「うーん???何かガマの油売りって感じじゃないの?」
ロータリークラブでパフォーマンスした時でさえ、
アシスタントが必要だったのに、誰も知らない土地で、1人で出来るのン?
と娘は思ったであろう。
実現は不可能に近いことを、心に思い描くのは楽しい。
ちょっとハデめのコスチュームがいいだろうナ。
墨のパフォーマンスは動きを大きくして、
最初は何を描いているのかわからないほうが、おもしろい。
・・・ア、筆洗う所あるやろか?
急に現実めいたことが頭に浮かんで、
本日の話はオワリ。