『阿弥陀堂だより』
というDVDを友人が貸してくれた。
精神的に疲れ果てた女医(樋口可南子)が、
売れない作家の夫(寺尾聡)といなかへ帰って、
少しずつ元気を取り戻すという話である。
(私にとっては)あまり楽しい内容ではなかったが、
信州の山里の四季の映像は、美しかった。
「貧乏だったから、贅沢なものは食べられなかった」
と言う北林谷栄演じる、おうめバアサンのセリフも心に残った。
しかしよく考えてみると、
おうめさんは、小さな畑で自分が食べる野菜を作り、
日々、採れたての食材を使っている。
肉や魚や珍味をふんだんに食べることは、確かに贅沢であることに違いないが
新鮮な野菜を毎日手に入れることも、都会ではかなり困難であるだけに、
彼女がトマトをもぎ取っているシーンは、感動的でさえあった。
いなかで居た頃、裏の畑で、キュウリやナスを採ってきて
そのまま食べていたことを思い出す。
あのおいしさは、今の私にとって手に入らない贅沢品である。
生徒の中には「裏に畑がある」という人もいて、
空豆、えんどうなども持ってきてくれた。
やはり店では買えないおいしさがつまっていた。
ああ いいナァ、畑を持っているヒトは。
「そうだ!このマンションの敷地は広いゾ」
と、密かに思いをめぐらす玉麗サンでありました。