テレビを全く見ない訳ではない。
灯りの下での制作がしづらくなってきたので、
夜は絵を描かないようにしている。
そうなると、雑用のないヒマな日もある。
テレビ番組を読むと、NHKでスペシャルシリーズをやっている。
第5集となっているので、連続して放送しているのだろう。
高地に住む動物達の特集であった。
愛らしいパンダや子ザル、珍しいユキヒョウ。
撮影にも数ヶ月を要していることであろう。
最も感動したのは、世界最高峰を越えて飛ぶ小さなツル。(名前は忘れた)
乱気流にもまれ、麓に引き返したり、ワシに襲われて命を落とすのもいる。
それでも体の中に流れる越冬地への記憶を辿って、
互いを励ますように鳴き合いながらひたすら飛ぶ。
その様子をカメラが克明に追っている。
ガンバレ!!
8,800メートルものエベレストを越えたとき、思わず鼻の奥がツーンときた。
画面が曇ってくる。
鳥達がまさに命をかけて、北へ、南へと渡る様子は、何の説明もいらない。
一生懸命の一言に尽きる。
人間は1ツの「所」を懸命に守ってきたから、一所懸命。
動物の場合、「一生」の方があてはまるように思う。
私の感性は動物的なのかもしれない、と思い当たる。
気を抜くことを得手としない。
それが何であれ、ふと気が付いた時には、すでに一生懸命になりすぎている。
当然、疲れる。
最近は特に。
ひたすらという言葉はとても好ましい響きであるが、
体力のない者が、長きに渡って実行すべきものではない。
60代に入ったら、というより今から
「楽」に生きることを学ぼうと思う。