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四季の姫ストーリー 序章

以前お伝えしていた、玉麗オリジナルストーリー、
アップしたいと思います。

ブログでは1話ずつ紹介します。
なお、更新は気まぐれです。
(1週間に1度くらいの予定)

もし、前回のストーリを忘れたとか、
更新していたのに見逃した場合は、
このブログの右がわに、「カテゴリー」というメニューがあり、
そこに記事が内容別で種類分けされています。

一番下に「四季の姫のストーリー」がありますので、
そこをご覧下さい。

今日は初回なので、2話のせたいと思います。




『四季の姫4姉妹と神獣たちの物語』



“序章 壱”

  

一の姫が生まれた朝、雪が降っていた。

父神は冬枯れの庭に下りて、ぼたんの木を一枝折り、

小さな人形(ひとがた)を作った。

そして、母神のかたわらで眠る姫のそばへ置くと、

フッ と息を吹きかけた。

人形(ひとがた)は、たちまち品の良い老女となり、

父神に向かって深々と額(ぬか)づいた。


「ぼたん老女よ、そなたは姫の身の回りの世話と

姫神になるための、たしなみを教えてやってほしい」


一の姫は色白で、少しひ弱に見えたが、

深い色をたたえた瞳の奥には、

姫神にふさわしい高貴な光が宿っていた。


”序章 弐”


ぼたん老女は智恵の限りを尽くし、

母神と幼い姫に献身的に遣えた。

季節がひとめぐりして、春がやってきた。

桜がやっとほころんだ頃、二の姫が誕生した。

父神は咲いたばかりの桜の花を集め、

床に人形(ひとがた)を作った。

桜花達は、あっという間に10歳ほどの

双子の少女になっていった。


「ふたりさくら子よ、姫達の遊び相手を頼んだぞ」


二の姫は象牙(ぞうげ)色の肌に、ほんのり朱がさした

健やかな赤子であった。

大きな声で空腹を訴え、乳をよく飲んだ。



(by玉麗)



今日は雨ふりでした。

明日は晴れますように。

(雪)


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四季の姫のストーリー②

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

この物語は、澁谷玉麗の完全オリジナルです。
毎週日曜日に更新します。

過去のストーリーを読みたい方は、
ブログの右側の「カテゴリ」の中より、
「四季の姫のストーリー」をご覧下さい。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




“序章 参”



さくら子がやってきたので、

ぼたん老女は姫達の相手をまかせ、

母神の乳がよく出るように、心を配った。



一年はまたたく間に過ぎ、

夏の次に秋がやってくると、

母神は、三人目の御子のために、産屋(うぶや)に入った。



二の姫とよく似た顔立ちの、三の姫が産声をあげると

鳥達が集まってきた。



四季神家(しきがみけ)は、にわかに賑やかになった。

姫達の鳴き声、笑い声、ふたりさくら子が三人をあやす声が

屋敷中に響き渡り、

鳥達も負けじとさえずった。

(by 玉麗)





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四季の姫のストーリー③

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

この物語は、澁谷玉麗の完全オリジナルです。
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“序章 四”


ぼたん老女は、姫達を慈しみ心込めて養育した。

どんなに忙しくても愚痴ひとつこぼさない老女に習って、

ふたりさくら子も笑顔を絶やすことはなかった。



クルクルとこまねずみのように働く三人の花の精を、

母神は目を細めて見守った。



姫達はすくすくと育って行った。

このころの四季神家は人間達の生活と比べて、

さしたる差異はなかった。

皆、早朝に目覚め、父神のとなえるアマテラスへの祈りの言葉を、

こうべを垂れて聴き入ること以外は。



一の姫が三ツになった年、父神は三人の小さな姫達に言った。


『姫神になる支度を始めるのは、三ツの年と決められておる。

一の姫の供をするものを、呼んでおいた。

二の姫、三の姫は、それぞれ三つの年になるのを

楽しみに待つがよい』



どこからともなく、白狐が現れ、一の姫の前に座った。

二の姫の眼が輝いて、

白い生きもののふさふさした尾に触れた途端、

それは姿を消してしまった。

三の姫がぼたん老女のひざの上で、眼を丸くしている。


『ハ ハ ハ、 白狐は一の姫の供だ。

一の姫の言うことしか聞かぬぞ』


(by 玉麗)

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四季の姫のストーリー④

玉麗近況;

玉麗会会員の皆さん、お知り合いの皆さんには
ご心配をおかけしております。

雪の勝手な近況報告です☆

玉麗の体は元気な状態です。
今日の検査で、保護していたコンタクトレンズをはずしたそうです。
はずすと摩擦があるので、時々「痛いよう」と泣いております。

とても可哀想ですが、どうすることもできません。
視界はまだぼやけているし、
ただ傷がはやく修復してくれるよう
見守るばかりです。

12月中は、教室をお休みする予定です。
どうぞご了承下さい。
よろしくお願い申し上げます。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

この物語は、澁谷玉麗の完全オリジナルです。
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”序章 五”


二の姫が三ツになると、父神は駿馬(しゅんめ)を用意した。

一年後、三の姫の元に鳳凰(ほうおう)が飛んできた。

姫達それぞれの供が決まると、再び三人を前に、

父神が言った。



『もう一人、姫が生まれる。

四人揃った時、それぞれに季節を与えよう。

それまでに、ぼたん老女とふたりさくら子を困らせないよう、

良い子にしておくように』



一の姫は素直にコックリと頷いたが、

二の姫と三の姫は二人で顔を見合わせて、

首をすくめて笑った。


『二人供、父神さまの前へ』

母神に促され、おとなしくなった二の姫、三の姫の頭に

父神の手が伸びた。

『元気が何よりじゃ』



一年後、

一の姫は六歳、二の姫は五歳、三の姫は四歳になった。

しかし、妹姫の姿はなかった。



四年が過ぎ、さらに三年が流れた。

その年の秋の終わり、母神は四人目の御子を身ごもった。


そして翌年夏の盛りに生まれた姫は、

黒々とした眼に睫毛がくっきりと長く、

この姫を拝した者は、そのあまりの愛らしさに

思わず笑みを浮かべた。


それぞれ、

十四歳、十三歳、十二歳になった三人の姫達は、

競い合うようにして末の姫を可愛がった。

ぼたん老女とふたりさくら子の仕事が

少なくなってしまうほどに。

(by 玉麗)


pさん いつも応援して下さってありがとうございます!

まわりはひょっとして・・・・・
銀世界ですか?

(雪)

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四季の姫のストーリー⑤

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父神は裏山の桃の実をもぎ、

「加牟豆(カムズ)よ、出でよ」

と言った。


桃の実は、二ツに割れると中から小さな人形(ひとがた)が現れ、

みるみるうちに8歳ほどの、おのこになった。


父神、母神、4人の姫、

ぼたん老女、ふたりさくら子、加牟豆。

四季神家はますます賑わいを呈していた。


すでに3人の姫達は、父神のまつりごとの助けとなっていた。

難しすぎることがあれば、

3尾の神獣達が姫達にかわって、ことごとく解決して行った。



やがて、末の姫が3ツの年を迎える時が来た。


一の姫は15歳。

すでに姫神としての気品を備え、

祈りの形に入ると光背(光の輪)が現れた。



二の姫は14歳。

のびやかな四肢の野生が光り、

愛馬に乗って駆けるさまは、父神に似て雄々しくさえあった。



三の姫は13歳。

母神似のあでやかな容姿の中に、

凛とした心を宿していた。

鳥達と思うさま語り合うことが出来るのは、

この姫の供、鳳凰の力であった。


末の姫はいまだあどけなく、

笑うと周りのものすべてに穏やかな心をもたらす

おさなごであった。

(by 玉麗)



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  • 大阪在住の水墨画家。
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